1月21日当地に着任しました川原です。これから在留邦人の皆様方とお目にかかることを大変楽しみにしております。宜しくお願い申し上げます。
これまで、日本では、外務省経済局で国連の航空専門機関(ICAO)やAPEC(アジア太平洋経済協力)関係、中南米局ではメキシコと日本との経済連携協定(EPA)の交渉に従事し、その後、日本にいる外国メディアを通じた日本からの世界への情報発信を支援する民間機関(財団フォーリン・プレスセンター)事務局で活動し、その間、米国メディアの方々のお世話もしておりました。最近は、領事局で、在外領事サービス活動全般を本省から見ておりました。今回、マイアミ総領事館勤務となり、地元におられる皆様との交流・親睦を深めたいと今から楽しみにしております。
当地に着任する前にはフロリダ州に関する資料や書物を読み、また関係者からお話をうかがってきましたが、同州は全米各州と比較して、経済規模(GDP)でカリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州に次いで第4位、2011年には人口の規模ではニューヨーク州を抜いて第3位にランクインすると推定されています。経済の大きさを中南米の二大雄国と比較しますと、近年躍進著しいブラジルの約半分ですが、メキシコに近い水準にあります。こうした全米でも有力で、かつ将来性に富むフロリダ州に在勤できることを誇りに思い、同時に大きな責任を痛感しております。
さて、今年1月8日には、前原外務大臣が就任後間もないスコット州知事とお会いされるべくフロリダに立ち寄られました。フロリダ州の高速鉄道計画への日本の優れた技術の導入検討、フロリダ州知事による日本訪問、日本からの投資・企業進出の奨励などが話題となりました。今年当地で注目される話題であり、当館としても是非お役に立ちたいと思っております。
現在、日本とフロリダ州各都市との間で姉妹提携を結んでいる自治体が10あります。その一つ、オーランド市と姉妹提携をしている浦安市の松崎市長さんに今月初めにお会いしお話を伺いました。特に興味あるお話は、松崎秀樹市長さんがオーランド市を訪問した際、老人養護施設を視察し、どこの施設でも寝たきり老人がいないことに気づき、そうした特養施設がないのかと聞いたところ、「寝たきりの老人にさせてはいけない」との法律があること、老人施設では、そのような観点からの配慮がされており、美容室まで施設内に設置され、年配の方々が生き生きと生活をしていることに大いに感動した、と話されていました。また、浦安市とオーランド市との市民交流を実際に支えてくれているのは、市民ボランティアからなる国際交流団体であり、市民が直接にいろんな活動を企画して実施していると、意識の高い市民のお話をされていました。浦安市には外国人在住者も多いところでありますが、外国人協議会があり、地元に住んでおられる外国人の方々の見識が大変に高く、自分の街をもっと良い街にしたいと良い提案をしてくれており、つくづくと感心した体験を熱心に当方に語ってくれました。余談ですが、大変に財政基盤の優れた都市として全国的に注目されている浦安市ですが、市内にあるディスニー・リゾートに2600万人が毎年集まってくるところでもあります。ところが、同リゾートを含め、市への法人税収入は、市の歳入の8%程度を占める程度です。世間で思われているような企業城下町ではなく、本当に上質な市民が多数おられて、市の財政基盤を支えているとのお話でした。
大変感心致しました。
私は、当面、フロリダ州知事をはじめ州内の自治体首長、治安関係当局、ビジネス諸団体、各大学などへのご挨拶回りを続ける毎日ですが、皆様が住んでおられる地域・自治体でも、浦安市の例のような耳よりな良いお話がたくさんあると思いますので、是非、御遠慮なく、お聞かせください。
皆さんと共に市民レベルで、フロリダと日本とのより良好な関係を築いていけますよう、お力添えを頂ければ、大変有難く存じます。
私も、その為に、努力させていただく所存でおります。宜しくお願い申し上げます。
2011年1月30日
在マイアミ総領事
川原 英一
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