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ここでは医療が高度に発達しているため、重い病気になっても頼りになる病院は多くありますが、手遅れや致命的にならないよう、症状を放置せず早めに受診して下さい。また、できるだけ病気にならないよう日常生活に注意して下さい。一般生活上のキメの細やかな配慮とその組み合わせが、日本人の平均寿命を世界一にしているのです。


自然環境


マイアミ市は北回帰線に近い北緯25度に位置し、熱帯に近い亜熱帯です。夏の間は影が余り出来ません。


フロリダ半島の大部分は、新しくて柔らかい石灰岩(サンゴ礁がほぼそのままで殆ど変性を受けていないので生物岩と言った方が適当)がその表土を構成する大部分で、一部、広葉樹林帯が形成され若干の腐葉土に覆われておりますが、アルカリ性が強く火山国の日本(酸性土壌が多い)に比べて、そこの植物分布は大変異なっています。例えばアザレア科(ツツジ、シャクナゲ等)の植物は殆ど見られません。


マイアミ近郊の住宅地で見かける、芝から上手にミミズをつまみ上げるムクドリ、庭のマンゴーやキーライムに群がる色とりどりの小烏たち、早朝に激しく電柱をつつくキツツキ(クマゲラ?)、木の実を齧るポッサム、ムササビ、それらを追いかけるタカやワシ等の猛禽類、は眼を和ませますが、他方、現実的にはイモリ、ガマカエル、ヘビ、等の両生類、爬虫類、さらにゴキブリやサシガメに代表されるムシ(節足動物)の多さにも気がつきます。


そして「最高の観光、保養地」は、即ち「最高の健康地」、では必ずしもありません。マイアミはフロリダ半島南部に大きな面積を占めるエバーグレード国立公園に象徴される、平旦な湿地帯で高温多湿の場所です。ここの蚊の大群はフロリダの名物です。保健衛生的見地からすれば、当地のロゴマークはイルカよりもエバーグレードの王者、アリゲーターにして貰いたいと思います。それを頂点にして、魚類、小型の爬虫類、両生類、鳥類、哺乳動物(齧歯類)等の種類、数も豊富です。彼らが好餌とする節足動物も同様に種類と量が豊富であり、こう言った自然の生態系に囲まれて生活しているヒトも決してこの環境に無関係では無い筈です。


端的に言えば、これらの中には当然ヒトに有害であるものも数多く、特に庭付き独立家屋の住人たちは、その対処に多くの努力を払っているのが現状でしょう。直接それらのムシを確認出来なくとも、トカゲやイモリを見つけた時には、彼らの餌がそこには豊富に存在していると考えて良い筈です。ダニやアブは当然として、サシガメやある種の吸血性のハエ、衣服に産卵し幼虫に孵化後皮下に潜入し膿瘍を形成する、等は先進国では想像もつかないことです。バイオリン・スパイダーと呼ばれる毒グモもおります。このクモは神経毒を持っており、噛まれた際には医療機関での治療が必要です。ファイアーアント(火アリ)はやや大型で大量に発生し、蟻酸による刺し傷は半年以上跡が消えません。アフリカ化蜂による被害は場合によっては死に至る場合があります。


社会環境


こう言った自然環境を踏まえて、欧米型の住居や生活様式は現地の自然環境に必ずしも適しているとは言えません。特に壁から壁へのカーペットと集中温度管理システムは、彼らに取っても絶好の棲息場所を提供しております。


さらに近年急速に増加し続けているカリブ諸国や、中南米諸国との物資や人の往来があります。これらの国々は緯度も更に低くなり、衛生状態が悪い地域もあり、多くのヒトが行き来すれば何かの伝染病を運んでくる可能性が皆無であるとは言い切れません。これは最近「輸入伝染病」と呼ばれ始めています。


マラリアや黄熱病は当地で発生しておりませんが、米国に近接するカリブ海の一部の國では、何年か前に絶滅宣言を出した筈のマラリアが再発し始めました。そして最近ではデング熱の小流行もありました。デング熱やウィルス性出血熱は黄熱病の亜系とも言えます。マラリアやデング熱には未だにワクチンは開発されていません。流行地では蚊に刺されないよう努力する必要があります。


対策


節足動物による刺咬症の防止
熱帯、亜熱帯で蚊やムシに刺されないように生活するのは、健康を守るために必須の条件と考えて差し支えありません。「万病の元」になる可能性があるからです。予防はどんな治療方法よりも勝っている事だけはお伝えしたいと思います。屋外活動をする際には、昆虫忌避剤が必須です。また一部の地域には毒蛇も棲息しております。


日焼け、日射病の防止
陽光線には波長の長い赤外線と短い紫外線がありますが、赤外線は地球にとって大事な熱の運搬役を勤めますが、紫外線は生物に有害とされています。低緯度地方の日照は、空気の層を通過して来る距離が短く、そのために散乱、あるいは吸収によって減衰されにくいため思っている以上に強く、特に紫外線の減衰が少ない事に注意して下さい。屋外活動の際は水分補給の手段を確保する事です。紫外線量と皮膚癌の発生には相関が認められ、フロリダ州は全米で最も皮膚癌の発生の多い州です。海水浴やマリンスポーツの際にはいたずらに紫外線を浴びないよう、日焼け止めクリームなどを使用しましょう。


その他の自然災害

 落雷:1959-1992年の間に333人の死亡、981人重軽傷が報告されています。人口と面積の割合からして、異常な数値です                 が、地形に変化がなく全く平坦であるので、落雷の発生箇所が予め想定し難いのが原因と見られています。

 竜巻:1962-1992年間に49人が死亡しました。特に1998年2月にはオーランドで38人が死亡しました。

 ハリケーン:5月から11月までがそのシーズンと言われていますが、特に10-11月が集中期です。

 野火:主として6-8月の乾燥期に自然発生する草原ないしは森林の火災です。州内で数箇所同時に発生する場合があります。かな                 り長期に渡るのが特徴です。しばしば道路が遮断されます。

 地震:1973年、75年、デイトナ、サンフォード、に軽度の有感地震が有りました。大西洋プレートの押上が、太平洋プレートのそれに比                較すると緩慢なので、マイアミでは地震が比較的少ないのです。