2013年6月 | ||
在マイアミ日本国総領事館 |
ハリケーン・シーズンに備えてのご注意
今年もハリケーン・シーズンを迎えました。万が一に備え、ハリケーン関連情報をとりまとめましたので参考にして下さい。また、ご質問等ございましたら在マイアミ総領事館までご連絡下さい。
1.ハリケーンとは
(1)ハリケーンに関する基礎知識
6月から11月末迄の6ヶ月間はハリケーン・シーズンと呼ばれ、毎年数個のハリケーンが8月~10月迄の3ヶ月間に数個のハリケーンが集中して発生しています。
ハリケーンは Tropical Wave ⇒ Tropical Depression ⇒ Tropical Storm ⇒ Hurricane という順に発達し、Tropical Stormになった時点で男女の名前が交互付けられます。
6年周期で同じ名前が使用されますが、アンドリュー等甚大な被害をもたらしたものは、以後2度と使われることなく、新しい名前が追加されます。
ハリケーンは、アフリカ大陸北西部の大西洋沖で発生した熱帯性低気圧が、勢力を拡大しつつ西進し、カリブ海付近で Tropical Storm 又はHurricane まで発達して、フロリダ半島に接近するパターンがほとんどです。アフリカ大陸北西部沖で発生したハリケーンの進路は、大きく2つに分けられます。1つ目は、カリブ海付近で北上しバハマ諸島をかすめ、右向きにカーブするルートです。この場合、北大西洋の冷たい海水によりハリケーンの勢力は急激に衰えます。2つ目は、カリブ海を通過し、メキシコ湾に向かうルートで、カリブ海とメキシコ湾の暖かい海水により勢力を増すため、大きな被害をもたらします。1992年、ホームステッドに上陸したハリケーン・アンドリューは、南フロリダに38人の死者と約250億ドルの被害を与え、メキシコ湾を北上し、ルイジアナ州等にも多大な被害を与えました。
(2)1992年8月24日に上陸したハリケーン・アンドリューの経過例
8月14日 北西アフリカ沖で低気圧が発生する。
8月16日 Tropical
Depression に発達
する。
8月17日 風速が時速40マイル (時速約64㎞) に達し、Tropical Storm Andrew と命名される。
8月22日朝 マイアミから東方800マイル (約1,300㎞) の位置で風速が時速75マイル (時速約121㎞) に達し、Hurricane
となる。
8月22日昼 マイアミから東655マイル (約1,050㎞) に位置し、午後5時にHurricane Watch が発令される。
8月23日朝 Hurricane Warning 発令
される。
8月23日夜 マイアミから東185マイル (約300㎞) に位置し、午後7時にマイアミ・ビーチが閉鎖される。
8月24日 午前3時、マイアミの東方40マイル(約64㎞)に位置し、風速140マイル(時速約225㎞)に達する。午前4時30分、南ビスケーン湾に到達、時速16マイル(時速約26㎞)で西進する。 瞬間最大風速164マイル(時速約262㎞)を記録し、午前7時ころ、風が弱まる。
(3)ハリケーンの規模
(イ) ハリケーンの規模が1でも、1999年10月にマイアミに接近したハリケーン・アイリーンのように洪水を引き起こす場合があり、また、トロピカル・ストームの段階でも、2001年のアリソンのように竜巻を伴うこともありますので、テレビやラジオ等での情報を随時確認し、注意する必要があります。
(ロ)日本では、夏から秋にかけて台風が発生しますが、この台風とハリケーンを比較すると以下の表のようになります。(風速のキロメートルとメートルの数字は小数点以下を四捨五入した数字となります。)
台風等の規模 | 風速 (mile/h) | 風速 (km/h) | 風速 (m/s) | |
トロピカル・ディプレッション | 熱帯性低気圧 | 20-38 | 32-61 | 9-17 |
トロピカル・ストーム | 台風 (風速17.2m/s以上) | 39-73 | 63-117 | 18-33 |
ハリケーン・カテゴリー 1 | 強い台風 (風速33m/s以上) | 74-95 | 119-153 | 33-43 |
ハリケーン・カテゴリー 2 | 非常に強い台風 (風速45m/s以上) | 96-110 | 154-177 | 43-49 |
ハリケーン・カテゴリー 3 | 111-129 | 178-208 | 49-58 | |
猛烈な台風 (風速54m/s以上) | ||||
ハリケーン・カテゴリー 4 | 130-156 | 209-251 | 58-70 | |
ハリケーン・カテゴリー 5 | 157以上 | 25以上 | 70以上 |
(ハ) 風速と様々な物への影響 (出典:気象庁ホーム・ページ
平均風速 | 人への影響 | 屋外の樹木の様子 | 車に乗車中 | 建造物の被害 |
10m/s以上15m/s未満 | 風に向かって歩きにくくなり、傘がさせない。 | 樹木全体が揺れ、電線が鳴る。 | 高速道路で、乗用車が横に流される感覚を受ける。 | 取り付けの不完全な看板やトタン板が飛び始める。 |
15m/s以上20m/s未満 | 風に向かって歩けない。転倒する人も出る。 | 小枝が折れる。 | 高速道路では、横風に流される感覚が大きくなり、通常の速度で運転するのが困難となる。 | ビニールハウスが壊れ始める。 |
20m/s以上25m/s未満 | しっかりと体を確保しないと転倒する。 | 車の運転を続けるのは、危険な状態となる。 | 鋼製シャッターが壊れ始める。風で飛ばされた物で窓ガラスが割れる。 | |
25m/s以上30m/s未満 | 立っていられない。屋外での行動は危険。 | 樹木が根こそぎ倒れ始める。 | ブロック塀が壊れ、取り付けの不完全な野外外装材が剥がれ、飛び始める。 | |
30m/s以上 | 屋根が飛ばされたり、木造住宅の全壊が始まる。 |
(4)ハリケーン関連用語
Hurricane・・・・・・・・・・・・風速が時速74マイル(時速約119㎞)以上の暴風雨
(ハリケーン)
Hurricane Watch・・・・・・・・ 48時間以内に上陸する可能性がある場合に出る。
(ハリケーン注意報) すぐ避難できる準備を行う。
Hurricane Warning・・・・・・・ 36時間以内に上陸する可能性がある場合に出る。
(ハリケーン警報) 避難地区の住人は速やかに指定避難場所へ避難する。
Tropical Storm (TS)・・・・・・・ 風速39マイル以上73マイル(時速約63㎞~117㎞)
(熱帯性暴風雨)以下の暴風雨
Tropical Storm Watch・・・・・・48時間以内に暴風雨圏内に入る可能性がある場合に発令
(暴風雨注意報)
Tropical Storm Warning・・・・・36時間以内に暴風雨圏内に入る可能性がある場合に発令
(暴風雨警報)
Tropical Depression (TD)・・・・ 風速20マイル以上39マイル(時速約32㎞~61㎞)未満の暴風雨
(熱帯性低気圧)
Tornado・・・・・・・・・・・風速40マイルから318マイル(時速約64㎞~512 ㎞)に達する。発生の予測は不可能なので非常に危険
(竜巻)
Tornado Watch・・・・・・・・トルネードが発生しやすい状態の時に発令
(竜巻注意報)
Tornado Warning・・・・・・・トルネードが発生した場合に発令
(竜巻警報)
Storm Surge・・・・・・・・・・ハリケーンによる高波が20フィート(約6M)を超える 虞がある場合、海岸沿いの住人は避難しなければならない。
(高波)
Boil-Water-Order・・・・・・・・・・ハリケーン通過後に発令。発令後72時間は水道水を沸騰しなければ使えない。
(水道水使用禁止令)
(5) 公共交通機関
Metro Rail, Metro Mover及びMetro Busは、風速が39マイル (時速63㎞) を超えると運行を見合わせるとのことですのです。
公立学校及び行政機関は、Tropical Storm Warning(暴風雨警報)が発令されると、閉鎖されることがあります。
(6) 気象予報図の見方 (ここをクリック)
2. 今年の予想
(1)今年の展望
国立ハリケーン・センターは、2013年5月23日付けでハリケーンシーズンの予報を以下のとおり発表しました。
(1)熱帯性暴風雨(風速約17メートル/秒以上):13~20個
(2)ハリケーン(風速約33メートル/秒以上):7~11個
(3)カテゴリー3以上の大型ハリケーン(風速約49メートル/秒以上):3~6個
今年は、平均年の(1)12個(2)6個(3)3個より多く、活発なハリケーン・シーズンになると予想されています。1995年に始まった大西洋のハリケーン多発期の主要因である西アフリカからの強いモンスーンが今年も継続されることが予想されています。その他、大西洋熱帯地域とカリブ海の海水温が例年以上に高く、ハリケーンの発達を妨げるエル・ニーニョの発達が見込めないためハリケーンが多発すると予想されています。
この予想は、発生数の予想であり、ハリケーンが米国本土に上陸する予想ではありません。個々のハリケーンの進路予想などは、国立ハリケーンセンターのホームページで最新情報を得ることができます。http://www.nhc.noaa.gov/
(2) 2013年のハリケーンの名前リスト
(1) ANDREA | (8) HUMBERTO | (15) OLGA |
(2) BARRY | (9) INGRID | (16) PABLO |
(3) CHANTAL | (10) JERRY | (17) REBEKAH |
(4) DORIAN | (11) KAREN | (18) SEBASTIEN |
(5) ERIN | (12) LORENZO | (19) TANYA |
(6) FERNAND | (13) MELISSA | (20) VAN |
(7) GABRIELLE | (14) NESTOR | (21) WENDY |
3. ハリケーン対策
(1)ハリケーンが来る前にすべきこと
必需品の確認。詳細は『必需品リスト』を参照。
避難ルートを確認し、避難勧告発令後どこに滞在するか前もって決めておき、最寄りの避難シェルターの場所を把握しておく。
貴重品、重要書類等は安全で水に濡れず、直ぐ取り出せる場所に保管する。
(2)注意報・警報が出たら
テレビやラジオで正確なハリケーン情報を把握する。
冷蔵庫・冷凍庫を一番冷える状態にセットし、必要以外に開けない。
最低1週間分の水・食料・日用品を用意。水は1人1日1ガロンが目安。『必需品リスト』を参照
バスタブや使っていない入れ物に水道水を貯める。(トイレ・洗濯・風呂用)
外にある植木鉢やごみ箱等、風に飛ばされそうな物を家の中に入れる。
ハリケーン・シャッターを用意し、なければ、plywood (ベニヤ板) で窓を補強する。
車のガソリンを満タンにする。
(3)通過中
外に出ない
窓やドアから、なるべく離れる (窓がなく狭い部屋 、トイレ等が安全) 。
暴風雨が止んでも、すぐ外に出ない (ハリケーンの目の中にいる場合がある) 。
停電時は、故障防止のため、また 電力復旧後、過剰な電圧が掛かるのを防止するため、エアコンや電熱器等の電気製品のスイッチを切る
(4)通過後
National Hurricane Center から、公式に「All Clear」と発表されるまで外に出ない。
Boil-Water-Order が出たら、水道水は汚染されているので極力使用しない。
(5)外出時注意事項
ハリケーン通過後や洪水時は、様々な危険が潜んでいるため不要不急の外出は控え、仮に外出する場合は以下の事項に気を付けて下さい。
(A)電線
切れた電線による感電の危険があるので、①水溜りは通らない、②車を運転中も切れている電線の注意を怠らない、③運転中の電線が車の上に落ちてきたら、止まらずそのまま運転し、仮にエンストした場合は、カギを抜かずそのまま車内で救助を待つ。
(B)道路脇の水路 (Canal)
道路まで水が溢れている場合、 特に夜間の運転時 は、道路と水路の境目が分かりにくいので、転落しないよう、なるべく道路中央を通る。
(C)道路脇のフェンス、電柱等
フェンス、電柱等が倒れる可能性がある他、障害物が散乱していることも考えられることから予測運転を心がける。
(D)害虫等
アリ (ファイヤー・アント) や蛇等、人体に害を及ぼす可能性のある害虫が、人家や車に侵入し、水溜りを歩いていると近寄ってくることもあるので注意する。
(E)身分証明書を必ず持参
※
上記 (A) (B)は、ハリケーンやトロピカル・ストーム通過後の主要死亡原因である。1999年10月のハリケーン・アイリーンは、その通過中に死亡者は出なかったものの、通過後、電線落下による感電死 5名と溺死 3名 が報告されました。
(6)ハリケーン対策必需品リスト
飲料水 (1人につき14ガロン、2週間分)
水を保管するための容器
懐中電灯・電池作動ラジオ又はテレビ
乾電池
現金 (25セント硬貨があると便利)
レトルト食品 (肉・野菜・スープ・果物等) ・シリアル等長持ちするもの
缶開け
粉ドリンク (ソフト・ミルク等) ・缶ドリンク
氷
クーラーボックス (食料用と氷用)
調味料
菓子類 (クッキー・キャンディー・乾果物等)
漂白剤 (何も混ぜていないもの。水道水を清浄するため)
救急箱 (特に、ばんそう膏・包帯・消毒液《薬》・テープ・はさみ・ピンセット・痛み止め薬・かゆみ止め薬・下痢止め薬・日焼け止め・石鹸は入れておくこと)
常備薬・処方薬 (2週間分)
ろうそく・マッチ
蚊よけスプレー
トイレットペーパー・ペーパータオル
アルミホイル
テープ (窓用) 、ロープ (100フィート)
ごみ袋 (大きめのサイズ)
電源を要しない電話機
ベビー用品 (粉ミルク・紙おむつ・ほ乳瓶・薬等)
ペット用品 (ペットフード・ペットケージ・飲料水)
道具箱、消火器
電話帳 (イエローページ・ホワイトページ)
使い捨て食器 (皿・カップ・フォーク等)
その他あれば便利な物
バーべキュ-・セット
寝袋・毛布
インスタント食品
ガスコンロ
炭・固形燃料等
ろうそく・ライター・マッチ
必要以上に買い置きする必要はなく、2週間分が目安です。
4. フロリダ州における災害関連のウェブサイト・電話番号リスト
天気予報・ハリケーン情報
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(305) 229-4522 | ||||||||||||||||
(305) 229-4470 | ||||||||||||||||
N/A | ||||||||||||||||
www.weather.com | N/A | |||||||||||||||
災害準備情報 The Answer Center (ツーリスト・ハリケーン・ホットライン) |
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(305) 468-5900 非常時のみ24時間 |
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避難場所確認及び災害遭遇時の連絡先
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(305) 468-5400 | ||||||||||||||
赤十字
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www.miamiredcross.org | (305) 644-1200 | ||||||||||||||
災害補償政府機関 (FEMA)
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www.fema.gov | 1 (800) 462-9029
朝7時から夜10時まで |
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電力会社(切れた電線を発見した時)
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www.fpl.com | 1 (888) 352-5325 | ||||||||||||||
電話会社
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611 | |||||||||||||||
www.att.com | ||||||||||||||||
ガス会社 (ガス漏れを発見した時)
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1 (877) 832-6747 (305)940-0139 (305) 891-8710 |
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www.floridacitygas.com | ||||||||||||||||
主な地元TV 局
主なラジオ局
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www.wplg.com | ||||||||||||||||
フロリダ緊急管理局 | www.floridadisaster.org | - |
注:避難シェルター関連の情報は郡ごとで異なっておりますので関係郡当局にご確認下さい。
http://www.floridadisaster.org/Response/engineers/2008sesp.htm